思い起こしてみれば、砂利のプラントを廃してもう40年も経つんだ。祖業を止める8年くらい前から建材店も行っていた。当時は私はまだ学生で経営にはノータッチだったのだけど、建材店の方で、食っていこうという判断を親父殿はしたのだ。
公共工事に関する移転なので、勿論保証金はある程度ある。でも必要な額の何分の一だったみたい。それで移転しても採算は取れないと判断したのだ。高度成長期が終わる、というだけでなく。建設省の河川行政を見極めてのことだ。プラントを新しくすることを断念し、保証金を従業員の退職金の足しにしたと親父殿は後で伝えてくれた。
建設省、現在の国交省が進めるのは、防災つまり水害をいかに防ぐか、ということが第一義だから、砂防ダム、堰堤堤防整備など出水の時に被害を食い止めることが仕事だ。
誰だって水害で家が流されたり、床上浸水など家が傷んだりしたくないから、大義名分は成り立つ。ただし物事には表裏があるのだ。
堰堤はある程度水害を防ぐ機能はあると思われる。しかし一方で「自然に」山から海に運ばれていた土砂を止めてしまうことにもなる。結果ウチのような砂利採取業は食い扶持が無くなってしまうわけだ。昔は秋の台風で土砂が溜まり、それを測量申請することで、払い下げする土砂が得られたけど、堰堤のお陰で土砂が溜まらなくなった。
それが祖業廃業の大きな理由だけど。砂利屋が無くなるだけでないデメリットも表出している。海岸線に土砂が供給されないことに因る海岸線流出である。それに堰堤が鮭や鮎などの遡上を妨げ、動物昆虫の往来を隔絶する生態系の破壊も懸念材料。
現在では国交省の方針により原則河川から砂利砂を採取することが原則禁じられている。だから既存の砂利屋は堤防の外側の田んぼの下を掘って骨材を得たりしている。しかしそれもあと十数年で掘りつくされることであろう。
国交省は、リサイクル材料で対応できる、と思っているみたい。バカですねバカですねキャリアは、多くの骨材は代用可かもしれないが、現状バージンの砂が無いと左官業は技を発揮できないと思うね。
もうひとつは、砂防ダムも堰堤も、水害防止の効果は認めても、堆積が進んでしまえば、その効果半減で定期的に浚うなり取り除くなりの作業が必要になると思うけど。そうした所謂「メンテナンス」予算がついているかというと・・・・???。
ぶっちゃけ言えば、この温暖化で過去にない水害が毎年頻発しているから、政権の謳う「国土強靭化」という路線に異を挟む人は少ないかもしれない。ただ新たなるダム建設など、多くの予算取りの政策(ゼネコンだけが喜ぶ)だけでなく、一般的な通常河川の管理予算が重要になってきていると思うのだけど・・・どうなのだろうか?
ご近所で、南摩ダムなる巨大ダムが建築中である。治水というよりも利水のダムだけどこれも採算が合うとはとても思えない。でも企画して作る方は責任ないんです。事業主体、つまり県とかが最終責任を持つわけだけど・・・・。
よくある税金で尻拭い・・・というパターンにならないように祈るばかりです。
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